相手の視点になることで、ウェブ分析レポーティングの貢献度を上げる

業務で、ウェブサイトの分析をしてその結果を報告していると「その分析は視点がウェブだけに限定していて経営の視点と異なる」と所属する組織の上層部やクライアントから言われることがある。

本記事では、ウェブサイトの分析(この記事では「ウェブ分析」とする)を行っている方のために、「相手の視点」になり、分析と報告のポイントを見つけるための方法を提案する。

1枚の写真

まずはここで読み飛ばさず、下記の画像を5秒だけ見てほしい。

唐突な質問だが、ウェブ分析者として、何を思うだろうか?

japanese building
Christian Joudrey 氏による写真( 画像出典: Unsplash )

  
 

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「池に建物が写っている」「壁が赤い」「壁が白い」等の感想が思い浮かんだだろうか?

 

 

 

ではここで、下の2枚めの写真を見てみよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2枚目の写真

inside view
Masaaki Komori 氏による写真( 画像出典: Unsplash )

どうだろう?2枚目は、1枚目の建物の中から見た視点になっている。

1枚目を見た際に、少しでも、住んでいる側、中にいる側の視点になることができただろうか?

 

この「住んでいる側の視点になれるか?」という視点(カスタマー視点)についての話は、書籍「ビジネス脳はどうつくるか(今北純一/文藝春秋)」を参考にした。

 

この本では、ビジネス一般に焦点を当ててカスタマーの視点になることの重要性を説いているが、ウェブ分析にも全く同じことが言えると私は考えている。

 

写真の例は、レポートを作る側と、それを見る側では視点が全く異なることを示唆する。レポートを作る側は、レポートを見る側の視点で分析と説明しなければならない。

 

これは、頭ではわかっていても、なかなかできないことである。だからこそ、意識をして取り組む必要がある。ウェブ分析に置き換えて、具体的に考えてみよう。

 

 

相手はウェブ分析レポートに何を求めているか?

例えば、Google アナリティクスでサイトを分析する際に、分析者には、セッション、直帰率、CVR(コンバージョン率)という指標が重要であるように思われるかもしれない。(スライド1)

customer versus analyst view 1
スライド1:筆者作成

 

 

しかしながら、分析には相手が必ず存在する。相手は何を求めているだろう。

ある会社では電柱広告、バスの広告、ウェブサイトを運用し、集客をしているとする。そうした場合に、相手に報告する数値は、セッション、直帰率等では不十分である。( スライド2 )

customer versus analyst view 2
スライド2 :筆者作成

 

 

極端な例かもしれないが、相手が各メディアからの利益について知りたいと思っていた場合(スライド3)は、ウェブサイトから利益がどれくらい出ているのか、目標の利益を達成していない場合、その要因が何で、解決するには何をすべきかを端的に伝えたほうが相手は喜ぶだろう。たくさんのレポートを作る必要もない。

customer versus analyst view 3
スライド3 :筆者作成

 

勿論、アクセス解析ツールのレポート、「利益」という指標は無いが、集計できている売上やトランザクション等と、会社での利益率をかけ合わせ、ウェブサイトからどれくらいの利益が出ているかの概算を出すことは可能である。普段から利益を考えている相手に、アクセス解析ツールで取得できる指標とその指標名をそのまま使っても、理解してもらうのに時間がかかる。

 

 

建物の中にいる人の視点で考えるためのゼロベース思考「デタッチド・ビュー」

分析を始める前に、相手が何を求めているのかを集計を開始する前に立ち止まって考え、どのように数値を見せるのか考えて、計画を建てることは分析のプロセスで外してはならない。

 

相手に提案が伝わらないと思ったら、一度、自分が相手の視点で欲しい分析のポイントを考えられているのかを振り返ろう。可能なら、自分の頭の動きを書き出して、客観的に振り返ろう。写真の中の建物の中にいる人の視点で、考えたり、自分のレポートを見直そう。

 

極めて抽象的な方法に思えるかもしれないが、これを意識的に繰り返すことで分析の質、結果的に貢献度合いを向上させられると信じている。

 

このように自分の思考をとらわれない視点、ゼロベース思考で振り返ること(=デタッチド・ヴュー,detached view)の重要性については思考のプロに学ぶ! 「考える」極意(宝島SUGOI文庫)にも記載がある。